弊社のインタビューコラム記事がNET IB NEWSに掲載されました。
2021年3月14日 07:00
記事 :https://www.data-max.co.jp/article/40614 <九州・福岡の壮健企業100社>
<創業半世紀を迎える>
(株)手島建築設計事務所は1971年2月に、現代表取締役会長・手島博士氏が創業した建築設計事務所である。手島会長が21歳のときに、福岡市内の四畳半のアパートでスタートさせた。創業当時の道具は、こたつとT定規のみの簡素な船出であった。
創業時は、大工や大手住宅機器メーカーの下請という立場で設計の仕事を積み重ねて行った。仕事の規模にこだわらず、どのような仕事でも地道に取り組んだ結果、手島会長の誠実な仕事ぶりは、業界内で高く評価され信頼を得た。こうした助走期間を経て官民とも幅広いジャンルの建築および構造物の設計と監理を手がけるようになったのだ。
どんな仕事でも誠実に、そして丁寧に全力を尽くした手島会長の創業の心は、現在も同社における社是・行動指針の礎となっている。以前、手島会長はインタビューの際、「最初の仕事をいただいたときの図面は、今も残っています」と語っている。こうしたエピソードは、常に初心に戻り、どのような仕事にも真摯に取り組む同社の姿勢の表れだ。
福岡で地道に実績を積み上げ、県内でトップクラスの建築設計士として認知され、さらに有数の建築設計事務所の1つとして数えられるようになった同社。
事業が軌道に乗った手島会長はしかし、30代半ばで大病を患い、人生観が一変したという。「悔いの残らない人生にするために、何事にもチャレンジしよう」と一念発起して、86年7月に東京進出をはたす。進出後は積極的に官公庁関係の仕事を受注していき、東京都をはじめとした自治体や官公庁の実績を構築。同社の実力が認められ、東京都や中央官庁からの指名も多数受けるようになった。また民間においても大手からの受注が増え、東京での基盤を確立した。
こうして、東京都内の建築設計業が約5000社あるとされるなか、同社は常にランキング上位80位前後のトップクラスの地位を維持し続けている。
2021年2月に創業50年を迎えた同社はいま、東京・名古屋・大阪、そして創業の地・福岡にて、堅調な成果を上げ続けている。
<設計に魂を入れる>
現在同社は、手島会長に加えて17年1月に代表取締役社長に就任した手島誠氏の二代表制で経営を行っている。官民の著名な建築物から個人の建築物まで、多種多様なニーズに応えるなか、近年はより耐震や耐久性など建物への安全性が求められるようになっている。自然災害が多発する昨今、規制がより強まるなか、他方では地球環境にかかる負荷が重くなり、自然環境が悪化している。建築に携わる人々は事業構築において、より高い技術と倫理観が求められるようになった。
手島誠社長は、「我々の仕事は、建築で最初の工程です。建築基準法などの法令および法令に準じた数値基準を遵守したうえで、事業主さま、そして建物に関わる皆さまの希望に沿った設計を実現させる。つまり建物を建てる事業主さまの想い、建物に住まう方々や活用される方々の想いを反映させていく礎が、我々設計士の役目です。建築士の視点も取り入れながら、設計図をはじめデザイン・構造・設備など、設計すべてへ具現化させるのです」と述べる。
「建築士の多角的な視点を導入し、いかに事業主さまや建物の使い手の方々へ、安全安心かつ快適で機能性が高い建物を提供するかが、肝になります。事業主さまから、コストを含めたあらゆる条件が与えられます。我々は、その条件内で最善を尽くすことが求められます。コスト面で上乗せしてより良い提案をすることもある一方で、条件内でいかに付加価値=機能性・快適性・デザインなどを織り込みながら、事業主さまの想定以上の設計を実行するか。まずは設計そのものへ魂を入れることです」(手島社長)。 「建築士の多角的な視点を導入し、いかに事業主さまや建物の使い手の方々へ、安全安心かつ快適で機能性が高い建物を提供するかが、肝になります。事業主さまから、コストを含めたあらゆる条件が与えられます。我々は、その条件内で最善を尽くすことが求められます。コスト面で上乗せしてより良い提案をすることもある一方で、条件内でいかに付加価値=機能性・快適性・デザインなどを織り込みながら、事業主さまの想定以上の設計を実行するか。まずは設計そのものへ魂を入れることです」(手島社長)。
<仕事の原点は人々の幸せ>
同社は現在50名の人員体制。そのうち約半数は一級建築士である。一方、同社は年齢やキャリアなどは関係なく、社内全体で闊達に議論が交わされ、意見がいえる企業風土だ。毎期新卒2名ずつ採用し、人材構成は次世代からベテランまでバランス良い世代分布となっている。
「おかげさまで建築に関わる学びを経験された人材を中心に、毎期採用することができました。我が社は各人の志向を尊重しながら、チームワークを重要視しています。手取り足取りというよりは、仕事の実務を通して先輩から学んでいく職場風土です。それぞれの立場で設計に関する意見を交換しながら、ともに成長していける風土が我が社にはあります」(手島社長)。同社の社員定着率は概ね95%前後で推移する。
次世代を担う人材については、「心身ともにたくましい方々と仕事をともにしたいです」(手島社長)という。同社では、図面を書く仕事からスタートして経験を積みながら、徐々に難易度の高い仕事が任される。「まずはやってみよう」とするたくましさは必要不可欠だろう。また近年の同社採用の傾向として、福岡勤務だけでなく、東京・名古屋・大阪での勤務を希望する人材もいる。
「私は名古屋の立ち上げを行い、大阪では7年間仕事しました。名古屋と大阪での経験は、私自身の見識を高められ、仕事の幅を広げました。地元以外での仕事の経験が自身の財産になることは確実です。とくに若い世代の方々には、東京・名古屋・大阪での仕事を経験してもらいたいです」(手島社長)。
今後について、「福岡は人口が増加し続けています。よって新築案件は引き続き需要があります。加えて老朽化した建物の建替えも増加するでしょう。東京・名古屋・大阪でも同様です。今後も我々の出番は、たくさんあります。まちづくりの設計を通して、人々へ幸せを届けることが我々の使命です」(手島社長)と語る。建築設計によってまちとヒトに幸せを届ける。手島建築設計事務所は暮らしのパートナーでもある。